スマートパパの暮らしマネジメント

暮らしと仕事をどうマネジメントするか、考えるブログです。

年末年始のテーマ読書(人新生、海運、地政学)

年末年始は、まとまった時間(と体力)があるので、読書の時間を作れることが嬉しい。 こういう時期は、歴史やグローバルといった大局的な目線での語り口の本に惹かれるが、わたしだけではないようで、本屋さんでも同様のテーマでコーナーが作られたりしてますね

テーマ読書、今回の選書


今年は高尚なお遊びとして、テーマを決め、類似性のある3冊を読んで、多角的に理解を深められるか、取り組んでみた。 1冊目、2冊目との関連性を見出し、思考しながら読み進めることになるので、より楽しい読書になりましたね

人新生の資本論


地球環境の保全は、SDGsや資本主義には今後も解決できないので、後期マルクスの研究分野に倣って「脱成長」や「参加型の社会主義、社会資本(水道、電気など)や、エッセンシャルワーク(介護や、医療、保育など)の民営化」で乗り切りましょう、という内容。

脱成長すると、生活は、不便になり我慢を強いられるが、代わりに仕事が魅力的になればよいと。資本主義による、地域別の分業(A国の材料をB国に運んで加工し、C国で組み立てる)が仕事を退屈にしているので、それを辞めよう、と提言している(職人は楽しい)。

この地域別の分業を実現したのは、20世紀半ばから始まったコンテナリゼーションからなんですよね、っていうのが次の本

コンテナ物語


ビル・ゲイツとか、管理人のひろゆきとかが、薦めている一部の人には有名本。確かに面白かった。船とか、トラックで運んでいるコンテナ。コンテナが生まれるまでは、国外との運搬コストに限らず、国内での運搬コストも非常に高価で、それ故に、コンテナリゼーションは、ビジネスモデルや、企業工場の立地戦略などにも大きな戦略を与えた。という本。

コンテナが普及していった経緯や、海運、陸運、政府の状況を俯瞰しながら読める歴史本としても読めるし、既成産業・既得権益(港湾労働者、労働組合、政治家)に立ち向かうベンチャー企業の社長の物語としても読め、いろんな切り口で興味を引いてくる。

コンテナリゼーションにより運送コストが製造コストに占める割合が「考慮不要のライン」に漸近したことで、ロケーションを考慮しないビジネスモデルの確立が可能(厳密にいうと為替とかもあるんでしょうけど)となり、いまのグローバル社会が実現していのだなぁと改めて実感。

で、これを読むとコンテナ輸送による海運が、国家や企業としての生命線になることがわかるわけで、となると、地政学の世界につながってくる。

サクッとわかる ビジネス教養 地政学


地政学でいうと、他にも権威高そうな書籍がAmazon検索でもいくつか見つかりますが、こちらは地図や挿絵をつかって非常にわかりやすいので、完全にお勧めできる。

石油をはじめ、海運が滞ると経済が滞る日本。中東からの運輸は、マラッカ海峡を通って運ばれるが、こういった海峡はチョークポイントといわれ、抑えられると他国から絞め上げられてしまう地政学上、重要な領域。こういった日本の海運・運輸のルートを中国や、海賊から保護しているのが米軍。

冷戦以降、大国間での、直接的な戦争は縮退したものの、国益のために殺伐とした領土、権力争いが続いているのが現代の外交である、と総括されると、冒頭にあげた「人新生の資本論」でいう、脱成長のコミュニズムへ、世界規模で舵を切るには、とてもじゃないが、足並みが揃わないだろう、という改めて実感。

環境運動が、立ち向かう壁(資本主義と外交・国際問題)はあまりにも高く、地球資源を使い尽くし、元に戻れないところまで突き進み、宇宙を開拓するしかないというシナリオが一番現実的になりそう…と思ったところで、昨年ヒットした「閃光のハサウェイ」や「グレタ・トゥーンベリさん」に思いを馳せる。